●モニタリングは汚職に有効か?
Ben Olken(当時ハーバード大学の大学院生)
による
"Monitoring Corruption: Evidence from a Field Experiment in Indonesia"
の報告を聞いた。
トピックはインドネシアにおける地方公共工事をめぐる汚職の実証。
やっていることは、
1、インドネシア農村の公共プロジェクト(道路工事)に金を出す
(実際に金を出しているのは世銀の援助を受けたインドネシア政府)
2、公共工事の実施と平行して2種類のモニタリング(監視活動)の組み合わせをランダムに行う
トップダウンモニタリング:プロジェクトの過程で政府の監視官を頻繁に送り込む
草の根モニタリング:村の公共プロジェクトのミーティングの参加者層を拡大する
全くモニタリングを行わない村も設定する
3、村に工事費用を報告させるが,その申告額とは別に、
実際にかかった費用を(道路をしこしこ掘り返したりして)推計し、
(この作業には2の監視官はいっさいかかわらない。)
2つの費用の差額を村のプロジェクト委員会の汚職度の指標とする。
そして,モニタリングの有無,種類によって汚職度が有意に異なるかチェックしている。
推定結果としては,
1、トップダウンモニタリングは汚職の総額を有意に減らす。
2、草の根モニタリングは汚職の総額は減らさないが、村のプロジェクト委員会が
プロジェクトの人件費(村民への支払い)をちょろまかさずに、材料費(土代)
をちょろまかすようになる。
となっている。その後に、費用便益分析を行い,
トップダウンモニタリングは費用効率的だと計算していました。
世銀などは草の根モニタリング(貧困層の発言権増大)が
公共プロジェクトの利益を効率面、公平面ともにあげるという立場のようですが、
この研究の結果では草の根モニタリングの便益は公平面に限られるということになりそうです。
この研究が高く評価されているところは、
「汚職を減らすのにモニタリングが有効って言われるけど実際どの程度有効なの?」
という重要な質問に初めて定量的でかつある程度説得的な証拠を提出したところです。
あと,そもそも汚職が存在するかということを定量的に実証することも難しいのですが,
説得的な汚職の検証方法を考案し実行したことも高く評価されています。